窓から差し込む光に、眩しくて目を開けた。 今何時?と思いながら時計を見たら、短い方の針は6という数字を指していて。 ああまた夕方まで寝ちゃったんだ、なんて思ってたのに (日曜日は夕方まで寝ちゃうことなんてふつうだし) 空を見たら夕方とは思えないくらい明るくって、 俺はきょとんとベッドの上で固まってみる。 どうして? って、昨日のことを思い出してみる。 ・・・そういえば。 昨日は疲れて7時くらいには寝てたっけ。 だったらもしかして、俺。 久し振りにとっても早起き。 +早起きは三文の得。 早起き。 そう思ったらいてもたってもいられなくなって、 時計が6時なのをもう一度確認して (だって実は違ってたなんていったら笑いもの) ベッドから勢いよく飛び起きた。 こんなに早く起きたのは何年振りなんだろう、なんて思ってしまうほど。 それくらい久し振りの朝の時間。 飛び起きたのにまだなんだかすごくわくわくして、 近くにあった携帯電話を掴んで、岳人にメールをしてみた。 『俺、今起きてるんだ』 送信ボタンを押して、画面を見つめて笑う。 きっとまだ眠っているんだろう岳人は。 メールが送られてきた時間をみて、すっごいびっくりするんだ。 朝の、きれいで真っ白な光を見つめながら、俺は窓を全開にした。 さぁぁっと、朝のさわやかな風が吹き抜ける。 目を閉じて、その柔らかさに微笑む。 朝早く起きるのもたまにはいいよね。 なんて、太陽の光に照らされて緑に光る木(俺がちっちゃい頃から生きてる木なんだ) に、おはようなんて挨拶してみた。 そして俺は目の前の、跡部の部屋へと顔を向けた。 跡部の部屋にはまだカーテンがかかってて。 俺の方が早く起きた!? なんて、すっごくすっごく嬉しくなった。 今日は跡部に自慢してやろう、っと。 そんな風に俺が跡部の部屋を見て、 得意になって笑っていたら、 突然跡部の部屋のカーテンが勢いよく開いた。 それに俺はびっくりしたんだけど、 カーテンを開けた跡部の方が、俺を見てすっごくびっくりしてた。 (まるで不審者でも見たって感じ。すっごく失礼だよ跡部) それでも跡部は跡部だから、 (だって跡部は跡部だもん。うんうん) 偉そうに笑って、(そう見えるだけなんだけどね) 俺に窓越しに話し掛けてくる。 「今日は雨か?」 「えへへ、雨だね」 自分でも珍しいこと、わかってたから、 跡部に言われて急に天気のことが心配になって空を見上げる。 今のとこ、晴れてはいるんだけど、 (お天気のお姉さんも、今日は雨の降るかくりつは0%だって言ってたし) それでもやっぱり心配になる。 「自分で言うんじゃねぇよ」 「だって俺が起きてるなんて てんぺんちい の前触れだよ?」 首を傾げながら言ったら、跡部は楽しそうに笑った。 だから俺も。 すっごく嬉しくなって、跡部に笑い返す。 「俺ね、俺跡部より早く起きたんだよ!」 えっへん、という感じで自慢するように言えば、 跡部は胸の前で腕を組んで、口の端を上げて偉そうに笑った。 「俺は今起きたんじゃねぇぞ。さっきから起きていた」 「・・うそだ」 なんだか負けた感じが悔しくて、むぅっと口を尖らせる。 「嘘なんかじゃねぇ。今朝の勉強を終わらせたところだ」 そんなことを言われて、だけど引き下がるわけにはいかなくて。 「跡部の負けず嫌い!」 って叫んだら、 「お前の方だろ」 って返ってきた。 だから引くにひけなくなって、跡部にべーって舌を出して、 そのまま勢いよくカーテンだけ閉めてまたベッドの中にもぐった。 久し振りに朝早起きして。 早起きっていいもんだねって思ったのに。 「・・跡部の馬鹿!」 布団の中で思いっきり叫んで、不貞寝をしようと決めたとき、 窓からふわりと誰かが入ってくる音がした。 そんなの、顔なんて見なくたってわかってる。 「ジロー」 名前を呼ばれたけど聞こえなかったことにする。 「ジロー、拗ねるんじゃねぇよ」 今度は跡部が布団を引き剥がそうとするから、俺は必死で抵抗をした。 (こういう時、俺も跡部もお互い必死) だけど俺が頭の方ばっかり押さえていたら、 それに気づいた跡部が足の方から勢いよく布団を捲くり上げて、 (ある意味セクハラ) 中に入ってきた跡部と真正面で視線が合う。 「折角朝早く起きたのに挨拶もなしか?」 綺麗な跡部の顔が近づいてきて、俺はうっと詰まる。 俺はどうしてもこの顔に弱いみたいだ。 「・・・・・」 何って言っていいのかわかんなくって、跡部から視線を離す。 そうしたら跡部が俺のほっぺたに触ってむりやり跡部と視線を合わさせた。 「おはよう、ジロー」 なんて甘い言葉を耳元で囁かれて。 俺はすっごい甘いお菓子を食べてるような気分になって、 ふわふわ浮きそうな心のまま、跡部に抱きついた。 「おはよ、跡部」 言ったら跡部がちゅ、と一つ甘い甘いキスをくれた。 そうして、視線を合わせて、二人で笑った。 やっぱり、早起きは三文の得。 |