こんなに授業に集中できなかったことは初めてでした。 +愛の授業中 ワタシは震える手で必死にペンを握り締めました。 顔は下を向いてはいるのですが、けれどその目はノートを映してはいませんでした。 ただ必死にペンを握り締めてやってくる律動から耐えていました。 ことの起こりは今日の朝のことです。 今日はテニス部の朝練もないので、ゆっくりと仁王君の家で朝を楽しんでいました。 普段よりも少し早く起きた朝、二人で笑い合って、何度も口づけ合って、 時間が余っていることに任せて、昨晩のように抱き合おうかという空気が流れた時。 仁王君は突然、変なものを取り出してきたのです。 そうして、それを。 あろうことかワタシの内部へと埋め込んだのです。 ワタシは驚きました。 取ってくれと何度も頼みましたが聞き入れてはくれず、 そのまま登校時間が近づき、促されるままに学校へと向かったのでした。 けれどワタシはそのまま学校へ来たことを心底後悔しました。 仁王君がワタシの内部に埋め込んだものが何だか知りませんが、 それは小型で、小さな振動を起こすものでした。 仁王君はそれをワタシが感じるポイントを少しずらした場所に埋め込みました。 今すぐに叫びだしてしまいそうなほど感じる場所でもなく、けれど無視するには辛い場所です。 むず痒いようなじんわりとした感覚が、絶え間なくワタシの内部を刺激しました。 教室の椅子に座り、最初は耐えられる、と思ったのです。 休み時間まで耐えて、それから仁王君に取って貰おうと思っていたのです。 けれどそんな考えは甘いものだと思い知らされました。 最初は耐えられると思っていた刺激も、意識するたびにその感覚が増します。 意識してしまうことが一番駄目なのだと思いながらも、無視することができません。 ワタシは必死で力を抜き、その感覚をやり過ごそうとしますが、 その瞬間に緩やかな感覚が襲い、締め付けてしまって悲鳴を噛み殺す、という行為を繰り返しました。 授業はもちろん聞こえてなどきません。 ペンを握り締め、唇を噛み締めて、その感覚をやり過ごすことだけしかできませんでした。 ワタシの席が一番後ろだったことが幸いでした。 前の席であれば他の生徒にワタシの異変を察知されてしまっていたことでしょう。 ワタシは耐えながら、隣の席で涼しい顔をしている仁王君を睨みつけました。 諸悪の根源であるはずの彼は、じっとこちらを見ています。 すると彼は、突然すっと立ち上がりました。 「せんせ、柳生が調子悪いようじゃから保健室連れてくわ」 その授業の教師はワタシの方を一瞥した後に、酷く心配そうな顔をした。 「ああ、大分調子が悪そうだな。連れてってやれ」 そうして授業が再開される中、仁王君はワタシの手を引っ張り、教室から出たのでした。 教室を出たのはいいのですが、実は歩くのがとても辛いのです。 思わず足が遅くなるワタシを、仁王君は無言のまま、抱きかかえるように連れていってくれました。 けれどもたどり着いたのは保健室ではなく、今は使われていない空き教室でした。 そこは物置きのようになっており、使われていない机がたくさん置いてある部屋です。 確かにここに授業中に訪れる人間など、滅多にいないでしょう。 かちゃり、と仁王君によってドアが後ろ手に閉められました。 その音を聞くとともに、ワタシは仁王君に壁に押し付けられました。 そうして深く深く口づけられます。 「ふ・・ぅん・・・っ」 仁王君の舌がワタシの口内を動き回ります。 歯列をなぞり、舌を絡めとり、吐息さえも奪い尽くされます。 その際にも内部の振動は収まらず、ワタシは体を震わせました。 「は・・っん・・仁王く・・」 「比呂くん」 仁王君の手は性急にズボンのベルトに手をかけました。 そうしてズボンと下着を一気に下ろすと、深く口づけながら、ワタシの内部に入っていたものを取り出しました。 長いこと異物を受け入れていたそこは、柔らかく緩んでおり、 そしていやらしいことにもっと強い刺激を求めてひくついています。 「比呂くん・・。 すまん。 もう、二度とこんなことせん」 ワタシは仁王君に掻き抱かれながら耳もとでそんな言葉を聞きます。 「あんな・・、あんな色っぽい比呂くんを他の奴らに見せるなんてこと、もう絶対にせん。 比呂くんは俺だけのもんじゃ・・」 息が出来ないほど、強く抱き締められました。 この身を縛る独占欲。 仁王君から与えられる愛情はワタシを縛ってしまうものでしたが、それでも酷く心地よいものでした。 ワタシは仁王君の腕の中でゆっくりと目を閉じました。 そうして仁王君の頭に腕を回し、優しく抱き締めます。 「大丈夫ですよ仁王君。 ・・ワタシは貴方だけのものですから」 そうして、降ってくる優しいキス。 くちゅり、と音を立てながら、お互いの熱を与え合います。 「んぁ・・・んっ・・仁王君・・」 「好きじゃ、比呂くん。 誰にも渡さん。 お前は俺のもんじゃ」 仁王君の手がするり、と今まで異物の入り込んでいた箇所を撫でます。 ふ、と息を詰めてその衝撃を待ちましたが、 柔らかく緩んだそこはまるで飲み込むかのように仁王君の指を受け入れました。 「・・大丈夫なようじゃの」 小さく笑った仁王君に、ワタシは懇願するように視線を向けました。 焦らされて、焦らされた体は心から仁王君を欲しているのです。 「・・はや・・・く・・仁王君・・!」 意を決して恥ずかしい言葉を紡げば、仁王君はワタシの体を裏返しにしました。 そうして圧し掛かるようにその塊を内部へと侵入させたのです。 「あ、ああ・・・いや、・・!」 普段なら何度か引っかかるそれが、するりと何の抵抗もなく入り込んできます。 熱いそれは、休む暇もなく、激しく抽挿を開始しました。 「比呂くん・・比呂くん・・」 何度も名前を呼ばれて、頭の中が快感で真っ白になります。 ずるり、と抜き差しされるそれに、ワタシも必死でついていこうと腰を揺すります。 「ああ、いい、い、ん・・!」 「・・もう限界じゃ、行くで?」 内部が凄い勢いで擦られ始めました。 擦られたところから熱が生まれて、浮かされるように中の仁王君を締め付けます。 そうして仁王君がワタシの最奥を抉ったとき、ワタシは全てを解き放ち、 内部にいた仁王君も、ワタシの中に熱い迸りを放ちました。 はぁ、はぁ、と二人の熱い息が教室にこだまして、二人でずるずるとその場にへたりこみます。 仁王君はワタシを優しく抱きとめて、そうして羽のような優しいキスをくれます。 まだ中には仁王君が入ったまま。 仁王君は外へ出て行こうとはしません。 ワタシは中にいる仁王君がまた熱を持ち始めるのではないかとそれが気がかりでしたが、 心配は無用だったようで、仁王君はずるりとワタシの中から出ていきました。 それとともに仁王君が放ったものがつるりと流れ出す感覚がして、ワタシは慌てて後ろに力を入れます。 「・・保健室に行くぜよ」 ぼんやりとした中で、ワタシは仁王君に言われた言葉を理解できませんでした。 「今日、保険医明日休みなんじゃ」 ・・だから、ベッドでヤり放題じゃ? 耳元でそんな言葉を囁かれて、ワタシは一瞬で顔を赤くしました。 「そ・・仁王君!」 ワタシの言葉には耳も貸さず、仁王君はすばやく自分とワタシの着衣の乱れを直しました。 そうして足腰の立たないワタシを再び抱きかかえるようにして保健室へと向かったのでした。 ・・結局。 ワタシは今日の授業をまともに受けられないということになるのでした。 |