『淫乱なお前は耐えられないだろう?』 そんな言葉とともに手渡されたのは、小さなピンクの、大人の玩具だった。 +ピンクローター・1 「九州へ行って、お前は自分で慰められる?」 耳元で体にずくんと響く声で囁かれる。 乾は俺が、耳が弱いということを知っていてわざと体に響くようないやらしい声で囁く。 分かってはいるけれども、耐えられない。 ぬるり、と耳に触れる乾の舌になぞられて体がびくりと震える。 体をうつ伏せにさせられて、その上から乾が圧し掛かる。 荒い乾の息遣いと、いやらしくまさぐる乾の指が中でたてるぴちゃぴちゃという音が俺の脳内を刺激して、 思わず乾の指をぎゅっと締め上げた。 すると乾は耳元で楽しそうに笑う。 「本当に淫乱だよね、手塚。 こんな体で、九州で一人なんて欲求不満になっちゃうんじゃない?」 くすり、と耳元で笑う声が聞こえてそうして首筋をぬるりと舐められる。 「ああ・・んっ」 体の脇に乾の熱く猛ったものが当たっているのが分かるのだけれども、 乾はまだ入れてくれない。 焦らそうとしているのが見え見えで、俺は涙で滲んだ目で睨むのだけれども、 乾は全く気にしていないようだった。 「・・っ乾!!早く・・!!」 もう指だけでは足りなくて、早く中に乾が欲しくて涙ながらにそう訴える。 もうなりふりなんて構ってられない。 乾がほしい。 「ごめん、手塚。 もう少しだけ我慢して」 そういうと乾は、手塚の頬に触れて、深く深く口付ける。 俺は口を開けて乾の舌を促す。 熱い粘膜が口腔を蹂躙して、唾液すらも飲み込む。 息が続かなくなるまで口づけて、それでも足りずにまた口づけた。 口づけの途中に乾が俺の中から指を引き抜いた。 自由な身になった俺は体を起こして、正面から乾に抱きついて再びキスをする。 もう理性などとっくに外れて、ただ乾だけが欲しかった。 キスをしながら乾の頭に腕を回して、髪の毛が滅茶苦茶になるほど抱き締めた。 唇を舐めてその吐息全てを奪い尽くして、下半身を乾の猛ったそれに擦りつける。 指を抜いたのだから、次は乾の熱くて固くて太いそれが入ってきてくれるのだと思った。 後ろは期待に震えて、まだ何も進入してきてないのに、淫らに収縮をしている。 擦りつけているものが早く欲しくて、手塚は乾のそれに手を伸ばす。 そうして自分で後ろまで導くのだが、その手は乾に止められた。 「・・乾っ!!」 もう欲しくて欲しくておかしくなりそうなのに、望むものをくれない乾に非難の声を上げる。 「ごめん、ちょっと待って」 すると乾は俺を抱き締めたままベッドサイドに手を伸ばし、蛍光ピンクのおもちゃのようなものを取り出したのだ。 「手塚、そんな体で九州へ行っても辛いだけだろう? だから、これあげる。 使い方教えてあげるから」 そういうと乾は玩具の先についているコントローラーのようなもののスイッチを入れる。 するとピンクのそれは妖しく蠢き始めたのだ。 「大丈夫、痛くはないから。 サイズもそんなに大きいのを選ばなかったし。 ・・ああ、手塚は大きいほうがよかったかな?」 小さな笑い声とともに、乾は俺の体を抱き締めた。 そうして掌に置いていたそれを、俺の中に入れようと・・ 「・・いや!!やめ・・!!」 俺は思わず、乾を思い切り突き飛ばした。 「・・手塚?」 驚いた様子の乾を、俺は涙目で睨みつける。 「俺は・・乾の、温度が感じ・・られないものを体に入れるなんて・・ことはできない!!」 一気に。 まくし立てるように言えば、乾は唖然とした表情をこちらに向けた。 そうしてそれから、心底嬉しそうに笑ったのだ。 「・・手塚」 乾の暖かい腕が頬に伸ばされ、そして優しく抱き締められる。 あやすように唇に羽のようなキスを落とされて、俺は大人しく乾の肩に顔を埋めた。 「・・ごめん」 「・・許す」 今度は俺から乾の唇にキスを落とす。 それからベッドに優しく押し倒されて、足を大きく抱え上げられた。 それと同時に、欲しくてたまらなかったものが体の中に入り込んでくるのを感じて、 俺は小さく息を飲んだ。 「・・手塚・・!」 「は・・あああ・・!!んっ・・!!」 焦らされていた中は、貪欲に乾を締め付ける。 「ちょ・・そんなに締めると全部入らないでしょ?」 ちゅ、ちゅとあやすようにくちづけられて、そちらに意識がいっている間に、 ずるぅりと熱い塊が中に入り込む。 「ん・・ぁ・・ぁ・・!」 焦らしていた乾も堪らなかったのか、いつもより律動が早い。 ぐちゅぐちゅと、中をかき回される音が体の中に響く。 「・・手塚の中、熱い」 「・・や・・言うな」 乾の言葉に反応して、中が懸命に乾を取り込もうと蠢く。 すると中の乾がずくりと更に大きくなった。 「・・ん、・・やぁ・・大き・・!」 「でも大きい方が好きだろ、手塚は?」 感じるポイントを攻め立てられて、もう限界が近かった。 腕を乾の背中に伸ばして、頭と背をめちゃくちゃに掻き抱いて、 足をいっぱいに開いて乾を受け入れる。 乾と俺に擦られる中心がもう限界を訴えていて、最奥まできた乾をぎゅっと締め付けて、果てた。 すると少し遅れて乾も俺の中で熱いほとばしりを放った。 流れ込んでくるそれにふと安心をして、力の抜けた乾の重みを受け止める。 荒い呼吸と鼓動が混じる。 熱が二人の間で溶け合って、酷く幸せだった。 それから、少しの間この熱を共有できないのかと思うと、 乾の熱を感じながら、今まで堪えていた涙がふと頬を伝った。 |